はじめに〜産卵防止のための試行錯誤
オカメインコに限らず、健康な小鳥のメスなら、ある一定の時期になると、無精卵、有精卵
いずれかの形で、卵をうみます。産卵するということは、その小鳥が健康である証拠だと
いえます。
しかし、産卵が長期間にわたって、なかなかとまらないと、その小鳥自身が骨折しやすく
なったり、奇形の卵を産むようになったり、卵管炎や卵詰まりといった病気にかかりやすく
なります。したがって、小鳥の健康を保つためには、私たち人間の側が知恵をしぼって、
産卵のコントロールをしてあげないといけません。
とくに、メスが1羽で無精卵をぽんぽんとうみまくる場合が、要注意です。
健康なオカメインコのメスが卵を産む回数は、年に3〜4回が理想といわれます。
つまり、飼い主としては、メスの産卵を、3〜4ヶ月に1度におさえる必要があります。
しかし、実際は、これがなかなかうまくいかない・・・。
現に、うちのオンとパールの過剰産卵は、ひどいものでした。
これは、これから紹介する数ヶ月のデータをご覧になれば、おわかりになると思います。
とくに、パールが異常です。オンも、パールほどひどくはありませんが、それでも、
何度も失敗して、ようやく産卵の止め方のコツをつかんだように思います。
止め方は・・・ものの本にかいてあることを、ほとんどすべて
試してみました。・・・が、どれも失敗。
本来、私たち人間とは違ったライフスタイルをとっている生き物の本能をコントロール
しようとすること自体が、そもそも難しすぎるのです。また、止め方も、その小鳥の
性格によってまちまち。
同じオカメインコのオンとパールでも、産卵の止め方が違うのです。
いずれにせよ、過剰産卵の止め方は、その小鳥の種類、性格などによって、異なってくる
ということをお断りしておかなければなりません。そして、ここでお伝えする過剰産卵の
止め方も、私自身の試行錯誤の結果、たまたま成功した一例に過ぎないのであって、
どの小鳥にも通用するものではないことをお伝えしておかねばなりません。
ただ、わが家も相当苦戦しましたので、同じく過剰産卵で悩んでいらっしゃる飼い主さん
にとって、何か参考になることがあればと思い、このコーナーを設けた次第です。
オカメインコ・オン(♀) 3歳 |
オカメインコ・パール(♀) 2歳半 |
|
写 真 | ||
過剰産卵 の程度 |
卵を産んだら、暖め始めるので、産卵は その間ストップするが、抱卵時期がおわ りに近づくと卵を抱っこしながらでも、 発情し始め、次の産卵に向けて準備し 始めるので止めるのが難。
|
最初の頃は、卵を産んでも暖めない ので、ひっきりなしに産み続けた。 発情がなかなかおさまらず、骨盤が 開きっぱなし。2ヶ月間で25個 以上は産んだと思う。巣を与えて、 抱卵する癖がついてからは、以前 ほど過剰な産卵はしなくなった。 |
産卵が 止まない 間、気を つけて いたこと |
止まるまでの間、オンもパールも 栄養補給には、かなり気を使った。 右の通り→
|
@獣医さんに処方してもらった カルシウム剤を飲水に投与。 Aチンゲンサイ・小松菜など 緑黄色野菜をたやさない。 Bカトルボーンやボレー粉の補給。 C寒い時期は、保温(25度以上)。
|
オンと パール の産卵 の特徴 と 卵を産み 続けて いる時の 直接の 止め方 |
わが家でも、いろいろな失敗を重ねてきました が、結局は、ちょっとしたプレッシャーをかけ るよりも、@食餌量を制限することによって 体重を増やしすぎないこととA睡眠時間を たっぷりとってあげること、が過剰産卵を おさえる鍵になるんじゃないかと、考えて います。 以下は、オンに効果があった方法です。
@最終卵を産んで7〜10日目くらい で、フンが丸い通常便に戻っている間 に、暖めている卵を取りあげ、ダイエ ットを開始。なかなか産卵がとまらな かったときは、最後の卵を産んで3〜 4日で取りあげ、すぐにダイエット に入っていました。
A @とあわせ、夜は早めに寝せ、 睡眠時間をたっぷり15〜16時間 とり、その間は、セキセイインコの ノンと一緒に寝てもらう ↓ Bダイエット開始時は、体重が重く(大抵、 100グラム以上)、まだまだ産卵の余裕 あるので、しばらく発情は続くが、騙し騙し ダイエットをして7〜10日経過すると、 換羽に入る。 そうなると、体力が羽の抜け替わりに使わ れるようになるので、産卵の余裕がなくなり、 産卵は完全にストップする。 換羽にはいると、体重が自然と落ちてくる ので、急激な体重減を避けるために、 食餌量を通常以上の量に戻す。
※換羽は、半月から1ヶ月半くらい続くので、 その間、体調管理に気をつける。また、 あまりに調子が悪そうなときは、早めに 健診(そのう、便検査)に連れていき 健康状態を確認するとよい。 ↓ C換羽の終わり時期には、体重が増えすぎない よう、再び食餌量を制限。
その中で、その鳥自身の「発情しない」 適切な体重(オンの場合、90グラム 〜93グラム。95グラム以上になると 発情し始める)を探して、維持する。 毎日、体重測定をして、体重(グラム) 食餌量(グラム)、睡眠時間(時間) の記録をつけておくと、とても役立ちます。
|
(産卵し始めの頃) 止め方がわからず、どうにもお手上げ 状態。飼い主や慣れた環境から離すた め、入院させ、以下を総合的に実施 して、ようやくストップした。 @15〜16時間睡眠。朝8時に起こ して夕方17時に寝せる A食餌をシード中心食から、ペレット 食中心に変え、ダイエット。おやつを 一切止める。 B広いカゴから、狭いプラケース に入れ、プレッシャーをかける。 ↓ 今思うに、この中で一番効果があった のは、@とAによるダイエット。
(抱卵し始めたが、抱卵を途中で止めたとき) パールは、オンにくらべて神経質な子で、 大きな物音をたてたり、地震が起きて パニックになったりすると、途中であっても 抱卵をやめてしまいます。 卵を全部産みきっていない間は、続けて 産卵するうちに、再び抱卵をはじめることも ありますが、全部産み終わった後にそうい うことがおきると、完全に抱卵をやめて しまいます。 ↓ そういうときは、抱卵を止めてからすぐに ダイエットを始めないと、再び発情して、 産卵に入ってしまう。 ダイエットの方法は、オンと同じ。 ただし、夜はセキセイの ノンと一緒に寝せる必要はない。
(最後まで、抱卵を続ける場合) パールは、抱卵期間が約2週間とオンに くらべて断然短い。しかし、抱卵を続けて いるうちに、体重がすすす〜っと減って くることが多い(パールは、消化器系が 弱く、産卵中よく消化不良をおこすこと が多いためじゃないか、と考えられる) ↓ これで、92〜3グラムまで減ると、自然と 骨盤はしまり発情は止む。オンのように、 わざわざダイエットしてやる必要はない が、消化不良を起こしている可能性が あるときは、早めに病院へ連れて いってみてもらう。 ↓ そのまま、食餌量を調整し、睡眠時間を 16時間にして、90グラム前半の体重を 維持すると、時々発情することはあるもの の、軽いプレッシャーを与える だけで発情や産卵がおさまる。
|
体 格 体 質 |
体格は普通。 ふつうに生活していれば、それ ほど太らない。 ただし、一度100グラム以上 まで太ると、ダイエットさせる のは至難の業。
|
体格は大きいほう。 太りやすい体質。
|
ペレット を食べる か? |
ふつうに食べれる。 |
ペレットよりもシードの方が好き。 あまり食べなかったペレットも、 ペレットメインのダイエットを していたら普通に食べられるように なった。
|
嫌いな も の |
きーんという高音 |
携帯電話の着信音、除雪車の音 ぬいぐるみのバロンちゃん |
性格 |
臆病。負けず嫌い。 あまり細かいことは 気にしない。 |
オンより、賢いし手先も器用だが ちょっと神経質。 甘えん坊。好奇心旺盛。 |
遊び が好 きか? |
飛び回ったりして、 体を動かす方が好きだが 木をかじって遊ぶのも 好き。 |
器用。おもちゃで遊ぶのが得意。 最近は、体を動かして遊ぶように なってきた。
|
卵を 暖め るか? |
小さめのカゴに入って暖める |
最初は、巣箱にも入らず、まったく 暖めなかった。試行錯誤の末、産卵直前 あるいは、産卵を始めてすぐに巣箱 を入れてやると、暖めるようになった |
飼い主が 好きか? |
なでなでしてもらうのは好きだが、 飼い主のことは、それほど 好きというわけではない
|
好き・・かもしれない(笑) |
寂しがり 屋か? |
そうでもない。 |
とても寂しがり屋。部屋に一人だけ 取り残されると 「ちょっと〜なんで、ぱっちゃん だけおいてくのさ〜」 と、キンキン声で鳴き出す。
|
お婿さん をお迎え する必要 がある か? |
思い切って、お婿さん候補に年下の たっぷとぷりんを迎えてみました (2004年7月)
が・・・オンは、2羽を相手にしていない ような・・。性格の不一致だけでなく、 早い時期から同居させていなかったこと、 人間となかよくしすぎたことが原因と 思われます。
でも、巣づくりの作業「だけ」は、 利害が一致して、なかよくやっています。
|
ぱーるちゃん、思いを寄せるぷりん君に ふられ、嫌いなたっぷ君につきまとわれ、 男性不信に・・。結局、自己完結の道を 選びました(たぶん)。
|
男の子の歌を きくと発情 するか?
|
する。 でも、体重をうまくコントロールして、 睡眠時間をたっぷりとっていれば、 たとえ男の子の歌をきいても 発情は抑えられると思う。
|
左に同じ |
暗がりが 好きか? |
大好き。放鳥中、暗がりを求めて さまよい歩く |
オンのように、探し回るわけではない が、発情している間、暗がりのある 本棚の方をじ〜〜〜っとみている ことがある。
|
ダイエッ トや 早寝遅起 きの効果 はある か?
|
右に同じ |
発情して10日以上たつと、あまり 効果はない。 発情していないときに、「発情させな いため」の方法としては効果がある。 |
環境適応 能力 |
まあまあある。
|
ありすぎる(泣)。 一度発情すると、部屋を変えようが、 狭い過ごしにくいプラケースにいれら れようが、3日で慣れてしまう。
|
各論は、小鳥の種類・性格を把握した上で、飼い主の試行錯誤が必要。野生の鳥の生活ぶりをヒントにする
とよい。
★手乗り鳥の健康の本(ペット新聞社)★
p110〜111より
参考文献に 書いてある 産卵防止法 |
ちょっと補足 | ||||
@ケージに巣箱を 入れない |
産卵させたくないなら、普段は、巣箱を入れてはいけない。 ただし、無精卵でも、一度産んでしまったら、卵を抱く 習慣を身につけさせるため、必ずいれる。 そうすることによって、過剰な産卵はいくらか抑えられる。
・うちのパールの場合、産んだ卵を巣箱に入れ、巣がある ことを教えるため、「無理強いしない程度に」つかまえて、 巣箱の入り口から押し込んでやった。最初は、いやがって でてきたが、何度かやっているうちに、気に入って抱卵を はじめるようになった。 ・一番いいのは、卵をうむ直前に巣をいれてあげると かなりの割合で巣を気に入り、抱卵を始めてくれる。 (産卵直前かどうかは・・・ @それまで、1週間以上発情が続いてきて、フンもどろっ とした水様便になっているか、 A体重が100グラム以上あって、前日に比べ3〜4 グラム一気に重くなったか Bお腹に軽く触れてみると、まあるい卵らしきものが あるかどうか ・・・でだいたい判断できる) ・オンの場合、最初に巣として気に入ったのがセキセイ のカゴだったので、それ以来、普通の巣箱ではなく セキセイの小さなカゴを巣として代用している。
|
||||
A巣をイメージ させるものを 与えない |
たとえば、新聞紙の下にもぐらせないよう、床には、 カゴの付属品としてついているフン切り網を敷く。 塩土を何個か文鎮のようにおいて新聞紙を抑え、 メスが新聞紙の下にもぐれないようにする。
|
||||
B暗い場所や 狭い場所に いかせない |
|
||||
C交尾の刺激 を与えない |
発情中に背中をさわるとオンは「きゃあ〜〜」という。 面白いけど、絶対やってはいけない。 発情中は、頭なでなでも御法度! なるべく、構わないのがよい。 |
||||
D気を紛らわ せる |
・うちの鈍いオンとパールの場合、発情が1週間以上続いてしまう と、気を紛らわせるのに、おもちゃをいれてみたり、落ち着かな い環境を作っても、あまり効果はない。 ・「発情していない間から」、早寝遅おき・食餌量を調整して 体重をうまくコントロールするとともに、広いカゴに入れたり、 日光浴をさせたり、放鳥を頻繁にする方が、効果的ではないか? |
||||
Eケージから 出す時間を 決める |
長時間放鳥していると、カゴを巣だと思いこんでしまうらしい。 |
||||
F産卵してしま ったら、卵は 絶対取り出さ ない |
・通常、卵を取り出してしまうと、メスは次々と産み足してしまうので 絶対取り出さないこと。
・産んだ卵は、そのまま室温で放っておくと、水分がぬけて黄身だけ 卵の底の方に固まる。匂いもしないし、意外ときれいなものなので、 卵が腐りそうだから・・・といって、取りあげてはだめです。
|
★アニファブックス・わが家の動物・完全マニュアル「インコ」(スタジオ・ムック)★
p126より
参考文献の産卵防止法 | ちょっと補足 |
@粗食にして 環境を変える |
そのとおり。おやつは一切止め、青菜を多めに与える。 また、野菜の種類をふやす。 食餌の内容・量ともに見直す必要がある。
太りすぎの鳥は、とくに食生活を改善して ダイエットをする必要がある。 うちのパールに、もっとも効果があった方法。 |
A24時間ライトを あてて明るくする |
とくに必要ないと思う。巣をイメージさせるような、薄暗がりが できること自体がよくないのだと思う。 風呂敷を被せるなどして、完全に真っ暗にして、睡眠時間を 15〜16時間にする方が効果があると思う。 カゴをロッカーや本棚の上におくと、ちょうどよい薄暗がりが でき、絶好の産卵場所になることがあるので、カゴをおく場所 は、なるべくカゴ全体に光が当たるところがよい。
|
Bホルモン剤を 投与する |
副作用があるので、すすめられない。また、根本的な産卵防止 方法をみつけていないうちに投与しても、その場しのぎにすぎ ず、また、ぽんぽんと産み始めてしまう。やはり、その小鳥に あった産卵抑制方法を、飼い主が、ねばり強く探すしか方法は ないのではないか。
|
★「ザ・オカメインコ」(磯崎哲也著・誠文堂新光社)★
p196〜197より
繁殖行動が 始まるため の4要素 →産卵を防止 するには これらを 取り除く |
ちょっと補足 |
@安全快適で 静かな環境
→落ち着かない 環境にする |
オンは、セキセイ・ノンちゃんと一緒に共同生活することで、 産卵防止成功。パールは、環境適応能力がありすぎて、 なにをしようが、あまり効果なし。
鳥は、高い場所にいるのを好み、低い場所にいるのを嫌がるので、 発情を止めるためには、カゴを床においてみるのも、効果的。 もっとも、うちの子達には、効かなかった(笑)。
|
A十分な栄養 →粗食にして ダイエット |
オンもパールもおやつは一切止める。 ペレット・粒餌両方を含んだ食餌量を見直して ダイエットすることで、産卵がようやく止んだ。
|
B日照時間が 長い →睡眠時間 を長くする
|
睡眠時間を多くとるということは、その間食事をしない ということになるので、ダイエットにつながる。 食餌量の見直しとあわせて、はじめて効果がある。 |
C暖かい →室温を低くする |
室温を低くしなくとも、産卵は止むんじゃないかと 思う。逆に、寒すぎると、卵詰まりなどを 起こしてしまうので、よほどのことがない限り、 やらなくていいと思う。
|
目のつけどころ | 発情すると、どうなるか? |
フン |
水様便になる。朝の「ためフン」がどろどろになり、独特の臭いを 放つ。 |
声 | 普段に比べて、可愛い声を出す。 |
水 |
がばがば飲む。一度に、5〜6杯は飲んでしまう。卵をつくるのに 必要な水分を摂取するためらしい。 |
発情中の行動 |
尾をあげて、背中をそらし、ぱーるは「キョロキョロキョロ」、 おんは「ウケケケ〜ッコ〜」と鳴く(笑)。 |
カゴの床 |
オンは、床をご〜りご〜り嘴で掻いて、ウケケ〜という。 パールは、床をこんこんこんっとつついて、キョロキョロキョロという。 |
体重 | 100グラム以上に増える。産卵前は、3〜4グラム急激に体重が増える。 |
おなか | おなかをさわると、ぶよぶよして、腫れぼったい。骨盤も開いている。 |
暗がりを求めて 三千里 |
オンが放鳥中、薄暗がりを求めてさまよい歩いていた |